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広島地方裁判所 昭和57年(む)255号 決定

主文

本件準抗告を棄却する。

理由

一  本件準抗告の申立の趣旨及び理由は、被疑者提出の準抗告書記載のとおりであるから、これを引用する。

二  そこで一件記録を検討するに、昭和五七年八月三日、東広島簡易裁判所裁判官が被疑者に対する電汽車往来危険及び威力業務妨害被疑事件について逮捕状を発付したこと、そして、右逮捕状に基づき、西条警察署司法警察員が、同月四日午前七時四分、被疑者を逮捕し、同日午前九時、同人を同警察署に引致したことが明らかであるところ、逮捕状の発付及び逮捕の処分は、刑事訴訟法四二九条一項各号が規定する準抗告の対象となる裁判に該当しないので、これに対して準抗告は許されないものといわなければならない。

因に、法が逮捕について準抗告による不服申立の方法を認めていない理由は、逮捕に続く勾留において逮捕前置主義を採用しており、逮捕から勾留請求手続に移るまでの時間が比較的接着していることから、勾留の手続において裁判官の司法審査を受けるうえ、この勾留の裁判に対して準抗告が許されている以上、さらにそれ以前の逮捕段階で準抗告を認める必要性に乏しいからであり、逮捕について準抗告が許されないとしても、憲法に規定する刑事手続上の人権保障の趣旨に反するものではない。

三  従つて、本件準抗告の申立は不適法であるので、刑事訴訟法四三二条、四二六条一項により、主文のとおり決定する。

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